1.甘い背中

少しだけ猫背気味の姿勢のせいか、その黒いスーツの背中は触れたくなるような曲線を描く。
剣士のまっすぐな背中とは対照的な甘いラインのS字カーブ。
不用意に近付けば、返り討ちは必至だからうかつには触れられない。
隙の無いそんなバリアが甘くゆるんで解けるのは、ただ一人の手が触れるときだけ。