3.消えたキス


どうしても触れたかった。

ふざけたふりでキスをした。

「だってオレまりも好きだしー」

冗談に紛れさせなければ真実さえ言えなかった。
これ以上言わずにいるのは苦しかった。

「嘘をつくな」
「嘘じゃねぇもーん」
「信じられっかよ」

唇の余韻が冷たく消える。

もし真剣に好きだと言っても、信じねえくせに。