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 おれたちは、デキている。
できているはずなのに、できないことが多すぎる。

 身体を重ねるのはいい。それなのに唇を重ねるのは拒まれる。
 肌をあわせているくせに、体の表面を触れることは厭われる。
その身体の奥の奥までも探ることを許しておきながら、たとえば、髪に触れる、頬をなぞる、指をからめる、そういうことは撥ねつけられる。

 誰にもさらさない溶けた表情をおれにだけ見せる癖に、だれにでもふりまく笑顔をおれに見せることはない。

 「死ぬな。」と言うのと同じくらい真剣に心の底から「くたばっちまえ。」と言う。
 言いたい言葉は言わずに言わなくていい言葉を吐く。
 言うべきことを胸の中にしまい込み、どうでもいいことだけを表に出す。

 優しく大切に慈しむ。そういう気持ちがありながら、手酷く壊したい気持ちが抑えられない。
 愛してるのに憎んでる。
 嫌いなのに一緒にいる。
 向き合うことよりも背中合わせでいることが自然で、背中合わせなのに相手のことが誰よりも見えている。

 手放したくない気持ちはどうしようもなく真実なのに、道を分かつ日が来ることを知っている。

 一回しか死ねない。一度しか生きられない。
唯一の人生の唯一の相手なのに。何度生まれ変わってもそのたびに会うと信じてる。

 俺たちの関係は、相容れないのにひとつところに並存する、アンバランスで矛盾だらけで正反対で相反する数えきれないほどの項目、 そんなものでできている。

 

 

end

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思い合っているのに、心が通じてない二人。

【item 】 辞書によれば意味は次の通り。
1. 項目、条項、細目、品目、個条、種目
2.(ニュースの)一項目、ネタ
3.(俗語)恋人同士、うわさのたね