lemon

 上陸した島はレモンが特産品だという。島の汀線ぎりぎりまで山が迫り、切り立った断崖に貼りつくように濃い緑の葉を揺らすレモンの木々が植わっている。

「ついて来い」

 サンジに言われ、買い出しの荷物持ちとして同行するゾロは、活気ある市場の店から店へと歩き回る黒スーツの後ろ姿を目印に後を追った。乾燥した空気。じりじりとした日差し。
 目の前にいるサンジの首筋を汗がすーっと流れ落ちる。
 湿った金髪が何筋かうなじにへばりついている。
 暑そうだ。

 ふと鼻先をかすめる爽やかな香気に、振り返って見ればレモンジュースの屋台。ゾロが船でトレーニングしている最中に「差し入れだ」とサンジが持ってくる飲み物と同じ香りで、つい。
「一杯くれ」

 

「てめェ、ちゃんと後ついて来いよ!どこか行っちまったかと思うだろ!」血相変えて探しに来たサンジに「差し入れだ」と差し出す一杯のフレッシュレモンジュース。

 

 

end