『瞳をとじて、きみに逢う。』

 

グル眉だ。
間違いない、ゾロは そう確信した。

 

たった数日 一緒に遊んだだけの、遠い町に住む同い年の子ども。
小さなゾロの記憶のなかで ちょっぴり朧気になりかけてしまっていたキラキラした金色の髪や透き通った蒼い瞳、くるりと巻いた眉が ぶわっと鮮明に甦ってくる。

 

受話器の向こう側に居るハズの相手は何も言わないけれど、絶対 間違いない。
だって、すごい力で ギュッ、と受話器を握り締めてる気配が伝わってくる。
息を呑んでドキドキしてるのが伝わってくる。
おれだって ずっと、もっかい会いたいと思ってた。
声が聞きたいと思ってたんだ、だからきっと、この電話の相手は。


「もしかして、グル眉か?」


思いきって そう問い掛けたら、ガチャン!と物凄い音がして。

びっくりした拍子に、ゾロは勢いよく受話器を置いてしまった。
しまった、と思う。
思わず、切ってしまった。
せっかく、グル眉が電話を掛けてきてくれたのに。


「ゾロ、どうしたの?電話?」


リビングから聞こえてくる母親の声に、なんでもねえ、と答えながら。

ゴールデンウィークが来たら、なんとかして 絶対にグル眉の住む町へ連れていって貰おう、と決めた。


あいつだって きっと、おれに会いたいと思ってるに違いない。

だって、おれが。
こんなにも、あいつに会いたいと思ってるんだから。


(あいつの髪とか、笑ったカオとか)

 

そうゆう、キラキラしたもん、全部。
もう一度、ちゃんと この瞳で見るまでは。

 

(電話の、向こうで。じっと黙ってた、空気ごと)

 

瞳をとじて、繰り返し。
目蓋の裏で、きみに逢おう。

 

2015/4/25

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 素敵ゾロサン小説サイト『Honey』のにあ様から、 拙作『耳をふさいで声を聞く』のゾロサイドとしていただきました。すごいでしょう!自慢自慢!
ゾロが、ちっちゃいのに男前でね、もじもじサンジさんと好一対ですよね!
にあ様の書くサンジさんは、内面も外面も本当にキレイなひとなんですよー。芯がしなやかに強くて、きらっきらのつやっつやで常にまぶしい存在です。一方のゾロは……ゾロは……格好いいんだよ、コンチクショウめが!(←)と罵倒せずにはいられない程、常にいい男です。そういうゾロの片鱗が、すでにこのお話でも明らかですよね。揺るぎないです。言えないでいることも、言わないでいることも分ってくれて、ぐいぐい引っ張っていってくれそうな子ゾロの男前さに、ごろんごろんしました。会えないのは寂しいけれど、会えなくても大丈夫。お互いに、強い絆で結ばれてるから。にあ様、かわいくて幸せなお話をありがとうございました!