辞書をひく 15

投稿者: | 2018年4月16日

拙宅へお越しいただきまして誠にありがとうございます。
職場において、後輩の出張土産であるクッキーを指でつまんで口へ運ぶという何気ない動作の最中、ふと思ったのです。この動作は「つまむ」+「食べる」ではあるが、いわゆる「つまみ食い」とはちょっと違う気がするな、と。だってワタクシのこの行動を「komaはクッキーをつまみ食いした」と表現した場合、間違ってはいないけど正しくもない気がするんですよね。「つまむ」も「食べる」もネガティブな意味合いのない動詞なのに、二つ合わさると何かこう、後ろ暗いというか後ろめたい雰囲気の単語になるのはどういうことなんだろうか。ということで辞書を引く。長くなったのでたたみます。結果についてご興味のある方は続きからどうぞ!

 

 

辞書にはこうありました。①箸を用いず指でつまんで食べること。例)味見のためにつまみ食いする。②盗み食いをすること。例)来客用の菓子をつまみ食いする。➂公金などを少しずつ引き出して自分のものとすること。例)会社の金をつまみ食いする。④夫婦や恋人同士でない相手と一時の慰みに状を交わすこと。……うーん、そうかなあ?納得いかない。①の意味であれば、みんなの見ている前でも堂々と行うことが出来るわけですよね。でも例えば「皆が出来上がりを見守る中、サンジは最後の味見のためにつまみ食いした」という文があったとしたら違和感ありません?④にしたって、例えば「人妻をつまみ食いした」という文で考えると、情なんて関係無しにやっちゃえ!的な何かでしょ、って違和感ありますよね(まあ、この場合の「情を交わす」は肉体関係の婉曲表現かもしれませんが。いやでも辞書での説明に婉曲表現はしないよな……)。そんなわけで、説明に不満を覚えたので別の辞書にあたります。すると「食べ物をつまんで食べること。少しだけ食べてみること。自分に差し出されたわけではないものをこっそり食べることなどを表す」……これだ!「少しだけ食べること」ではなく「食べてみること」という「ちょっとやってみた」感がポイントだと思うのです。そして何よりも「自分に差し出されたわけでもないものをこっそり」ですね。実際のつまみ食いも、本来の意味が転じて使用される男女間のつまみ食いも、この「自分に…」で説明がつくことを考えると、この説明文は実に秀逸です。すばらしい。思うのですが、「つまみ食い」の言葉に潜む、こっそりと、陰に隠れて、というイメージは、自分に差し出されたわけでもないものを取る=本来やるべきでないことをする=表に出せない行為、秘密にしておきたい行為、というあたりから生じたのではないかなー?(勝手に推測)。ただ、いくつか辞書をひいたのですが、基本の意味は「指でつまんで食べること」であり、「こっそり」のニュアンスは二次的なものでした。世間一般にはそうなの?「つまみ食い」を秘密めいたニュアンスだけでとらえるのってワタクシだけなの?……えー、でも、ワタクシの知る限り、いつもサンジさんは「ほかのヤツには秘密だぞ」って、おなかをすかせた船長やチョッパーに特別につまみ食いさせてあげてるし、ロロノアなんか、誰も見ていないところでサンジさんのくちびるとか首筋とかをちょいっとつまみ食いしているけどなあ。ということで、つまみ食いは隠れてこっそりだと思います。

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